理想的な飼い主の会組織と運営

「飼い主の会規約」「動物飼育に関する細則」の案

マンションにおける飼育制度を作成するうえでのポイントは次の3点であると思います。


1 「動物飼育規則」はおおまかな基本法にする
管理組合総会で可決される「動物飼育規則」は基本法的なものとして、動物愛護・動物との共存など、の精神と、大枠となるルールを記し、あまり詳細なルールは載せないようにする。なぜならば、刻々と変化する飼育状況に対して、ルールの変更の必要性が出てきた場合に、一々総会を通すというのはたいへんなことであり、厳しくすることはいくらでも可能でも、規制緩和の可能性はまずなくなるからです。

2 飼い主の会は運命共同体、江戸時代の“五人組”に
 似た性格を持つ
飼育動物に関する問題、苦情は必ず発生します。それが理事会を悩ます状態が続けばいつの日か動物嫌いの人々が理事会の主導権を握ったときに、突然「飼育禁止」などの原案が飛びだす危険があります。
 運命共同体として、マンション内のペット関連の問題は責任をもって「飼い主の会」が引き受けるという体制が必要です。

3 理事会とは常に太いパイプを持ち、良好な関係を保つ。
できれば理事を常に送り込んでおくなどの政治的対応は常に必要です。

4 飼い主の会が立案する「動物飼育に関する細則」で
 状況に合ったルールを

ここでお進めするシステムは、細かなルールは飼い主の会が立案し、理事会がそれを認めるという方法です。こうしておけば、理事会との関係を良好に保っているかぎり、次々に生じる問題に対して即座にシステムを改善して対応できるはずです。

 5 飼い主の会の最大の敵はマナーの悪い飼い主!
 それを覚悟しましょう

悲しいことですが、私の経験からして、この事態は必ず生じるでしょう。多くの飼い主がマナーよく、人に迷惑をかけないように過ごしていても、たった一世帯、ルールを守らない家があれば、全世帯を敵に回して、総会でペット禁止などが提案されるなど、家族の一員であるペットの市民権・生命までも危険にさらされる事態に発展する可能性は十分に考えられます。

マナーを守らない飼い主には断固たる指導をすることはあなたのペットを守るために必ず必要になります。
そのため、飼い主同士で「叱るもの」「叱られるもの」の気まずい関係が生じることも、覚悟しなければならないでしょう。



○○マンション 管 理 組 合「飼 い 主 の 会 」規 約

一つの理想的飼い主の会規約案です

 第1条 本会は○○マンション飼い主の会と称す。

 第2条 本会は「動物の保護及び管理に関する法律」に示された動物愛護の精神、及び本マンションでの動物飼養を許容した「○○マンション管理組合動物飼養規程」に基づき、○○マンションにおいて他の居住者に迷惑をかけることなく動物を飼育できる環境を実現するとともに、○○マンションにおける生活環境の維持向上に貢献することを目的とする。

         会員

 第3条 本会は○○マンションにおいて、犬、猫を飼育する居住者によって構成する。

  (上記の動物の飼育を希望する世帯は本会に必ず加入しなければならない。)

         事業

  第4条 本会は第2条の目的達成のため、○○マンション動物飼養規程に基づき、次の事業を行なう。

  1 飼い主に、動物の正しい飼い方に関する知識を広め、飼育マナーの指導と徹底をはかること。

  2 本規則第3に基づき、実際の運用上必要な細則を立案し、その遵守に努めること。 

  3 住宅周辺の共有施設や住宅周辺の環境及び衛生の保持に努めること。

  4 動物を飼おうとする居住者の窓口となること。

  5 飼い主が自ら解決することが困難な問題が生じた場合には、その飼い主の相談機関として解決を図ること。

  6 他の居住者に迷惑をかける飼い主に対し、適切な指導をすること。

  7 飼育動物による被害、または居住者からの苦情があり、当該飼い主が事態の改善と原状復帰ができないか、故意に行わない場合には、飼い主の会が連帯して苦情に応対するとともに、原状復帰に向けて努めること。

  8 会員以外の居住者及び近隣住民にも、動物と暮らすことへの理解を深めてもらうよう努めること。

  9 管理組合に対し、会の組織及び運営状況について適宜報告すること。

 

        会計

 第5条 本会の経費は会費をもって支弁し会計年度は4月1日に始まり、3月31日に終わる。

 第6条 本会の会費は年額3000円とし、4月中に納める。ただし経費に不足を生じた場合は総会の決議を経て臨時徴収することができる。

 第7条 会員が動物の飼養を中止した場合も既納の会費は払い戻さない。

 

        役員

 第8条 本会に次の役員を置く。

    会長1名 副会長1名  会計1名

 第9条 会長は本会を代表して会務を統括する。

     副会長は会長を補佐し会長事故ある時はその代理を行なう。

     会計はすべての金銭の収支を正確に記録保管し会員及び理事会より請求があれば何時でも帳簿を見せて収支の報告をする。

 

 第10条 役員は会員間の互選にて選任され任期は1年間とする。再任は妨げない。

 

     総会

 第11条 本会は会長の召集により、管理組合新会計年度開始前1ヵ月以前に定期総会を開催する

 第12条 会長は必要があると判断した場合には臨時協議会を召集することができる。

 第13条 ○○マンション管理組合理事長は本会の臨時協議会が必要と判断した場合には本会会長に臨時協議会召集を指示することができる。指示を受けた場合には、本会会長は2週間以内に臨時協議会を開催しなければならない。

 第14条 本会の目的を達し、飼育に関する決定事項の徹底をはかるため、本会会員は定期総会及び臨時協議会に必ず出席しなければならない。やむをえない事情により出席できない場合は、事前に会長へその旨を届けた上、後に必ず連絡をとって話し合われた事項について聴取し、その遵守に努めるようにしなければならない。

 第15条 次の各号に掲げる事項については飼い主の会の総会または協議会の決議を経た上で管理組合理事会に報告し、その承認を得なければならない。

    1 本規約の改訂

    2 飼育についての細則の改訂 


 
○○マンション動物飼育に関する細則 

 【騒音悪臭等の防止】

 第1 飼い主は動物を飼育するにあたって次のことに守らなければならない。

  1 バルコニーに小屋やケージを置いて飼育してはならない。

  2 糞尿は専用の砂等で処理し、厳重に梱包してゴミに出すこと。

  3 玄関やバルコニーで自由に行動させ、通行人や近隣に対して鳴声をあげることのないようしなければならない。

  4 絶えず鳴声をあげ、飼い主が制止できない犬を飼育する場合は、窓を開放したり、玄関を通風のために開けておいてはならない。                  

  5 猫は必ず室内だけで飼育し、室外との出入りをさせてはならない.

 6 廊下での歩行は共有廊下では人の左側について歩行し、対面する他の居住者に不安を感じさせないようにすること。

 7 エレベーター内では小型犬は抱くかケージに入れる、抱けない大きさの犬は飼い主が指示する場所に座り、静止できるように訓練すること。この徹底にいては飼い主の会は継続的に指導を行うこと。

6〜7このルールは実は最もネックになる部分です。ここではかなり飼い主にとって緩やかな、理想的なルールを掲げましたが、これまでの経緯(苦情と他の居住者の意識の様子。飼い主の皆さんのモラルの実態)に応じて考えるべきでしょう。ちなみにウィングのマンションでは「抱きかかえるかケージに入れること」を義務づけています。

ドッグショーの会場に行かれたことがありますか?会場周囲のコンクリート通路の状況は犬の尿の臭いが立ちこめ実に悲惨です。あれと同じ状況はマンションでは一度として見過ごされない大問題になります。

 8 万が一共有部分で排泄をしたり、毛を落とした場合には、速やかに始末し原状復帰をすること。なお、速やかな処理のために、理事会の許可を得て、所定の場所にペット応急セットを常設する。

※飼い主の会は運命共同体、江戸時代で言う「五人組」に似た性格を持つことは必至です。

 【犬へのしつけの義務】

 第2 犬を飼う場合は、飼い主の会が指定する専門家による講習を受け、十分な知識と心構えを持って、
しつけるようにしなければならない。

   1 新たに犬を飼う場合は、申請と同時に飼い主の会よるオリエンテーションを実施し、次の内容の徹底を図ること。

    ア 本マンションにおける飼育に関する諸規則の伝達

    イ 本マンションで生活するうえで身に付けさせるべきしつけ (歩行中・エレベーター内での処置など)

    ウ その他本マンションで動物を飼育する上での留意事項

 2 飼い始めるにあたっての飼い始めてから1年以内に管理組合が指定する一定程度のカリキュラムに基づく訓練 を受け始め、飼い始めてから2年以内に修了証を管理組合に提示しなければならない。

 3 ○○マンション動物飼養規則可決時において、すでに犬を飼育しいる飼い主については、飼い主の会が主催する専門家を招いての訓練会に全回出席することによって飼い主の会が修了証を発行するものとする。

 【動物の登録】

 第3 犬・猫を飼う手続きに際しては、動物の写真を添付した登録書を提出しなければならない。また、登録時点で動物が満一才に満たない場合には、満一才を経過した後に新たな写真を添付して再度登録をしなければならない。

 【本細則の見直し及び改訂について】

  第4 本会則は、マンションの動物飼育をめぐる環境の変化や他の居住者の心情に配慮し、飼い主の会がつねに調査及び研究を行い、必要ならばよりよいものへ改善するように努めるようにしなければならない。

2 理事会は改善すべき問題が生じた場合には、飼い主の会に細則の見直しを指示することができる。指示を受けた場合、飼い主の会は改善案を立案し、理事会に提出し承認を得て改訂する。

3 飼い主の会が改訂を希望する場合には改善案を作成し、理事会の承認を得て改訂する。

 


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